「正解」


短い言葉でにこりと笑う彼女。


「お前、引っ越したんじゃなかったのか」


「まあね。……それにしてもさ」


言葉を濁して、彼女は続ける。


「沖永くんは変わらないね。
目つき悪いし無愛想だしノリ悪いし
言葉遣いもダメダメだし
おまけに器は小さいし。
昔からジェントルマンには程遠い感じだよね」


「お前も相変わらずだけどな。
お前はデリカシーってもんを少しは覚えろ。
マシンガントークで
人の欠点ばかり言ってんじゃねえよ。
女子力ゼロのくせに
そういう無駄な正直さだけは身につけやがって」


そういう自分もマシンガントークなのだが
と心の中で青年は呟く。


こんな会話をするのも、19年ぶり。


とても懐かしくて、嬉しくて
何よりも楽しかった。