――ごめん――


最後に耳にした
彼女の小さくて短い言葉。


当時は
これが最後だなんて思ってもみなかった。


翌日にはちゃんと謝るつもりでいた。


当然だ。


だってこのとき
彼女を失うなんて誰が思っただろうか。


このあと彼女がいなくなるなんて
誰が知っていただろうか。


近くに彼女がいることが
俺の中のどこかで
当たり前になっていたのかもしれない。


だからこそ
彼女がいなくなって初めて気がついた。





こんなにも愛しいと哀しくなるのだと。