「オイ!」


不意に
誰かの声が聞こえた。


小さかった頃から知っている
無愛想だけど優しくて温かい声。


あたしは声の元を追った。


それは後ろからだった。


振り向いた先には
やっぱり彼がいた。


呼吸を乱しながら
あたしを心配そうに見つめている。


いつも通りの優しい彼が
そこにいた。