――うっせえな!帰れっつってんだろ!――
彼の言葉が頭かな離れない。
帰った方がよかったのだ。
帰らなければならなかったのだ。
彼が与えてくれた最後のチャンスを
あたしは無駄にした。
「……ごめん」
雪が降る中
あたしは歩きながら1人ぽつりと呟いた。
聞こえるのは
踏むたびに鳴るザックザックという
雪の音だけだった。
彼がここにいないとわかっていても
今はそれしか言葉にできなかった。
苦しんでいるはずの彼に
何もしてあげられないつらさと
どうしていいかわからない悔しさが
同時にあたしを襲った。
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