にじいろ。




「あの……どういうこと?」


恐る恐る声を詰まらせながら尋ねると
彼はハッと我に返ったように肩をピクリと動かし


「……いや、何でもない。もう帰るんだろ?
雪降ってるんだから気をつけろよ」


こっちを見ずにそう言った。


このとき
あたしは帰るべきだったのだ。


だけど
あたしはそこにいた。


そこにいたい、まだ帰りたくない
と身体が言うことを聞かなかった。


「……何か悩んでるなら」


ねえ、もう帰ろう?帰った方がいいよ。


自分にそう言い聞かせた。


だけどあたしの心とは裏腹に
身体は勝手に動く。