その生意気な一年生は、一度も振り向かなかったから最後まで顔が分からなかった。


私が名前を聞こうと思った時には、すでに居なくなっていて名前すら分からない。



その日のやり取りだけで気付いた事があるとするなら……



私より頭の回転が良くて冷静だった。




「 だって、私が先輩だって分かってたんだよ!? なのに、冷静すぎじゃない?普通、もうちょっと戸惑うよーーー!」



「 早苗が動揺しすぎとか?笑 」



「 ウソ!?そうかな?先輩なのに恥ずかしいよね、それ!
マリは、年下と話す時どんな感じ?」



「 私は〜、えーーー?普通かなぁ? ってか、そもそも、そんなに年下とか意識しないかも?人間じゃん?」



マリは人前でも堂々と話せるタイプ。
お母さんがお店を経営しているのも促せる、母親譲りの度胸がある。


けど、私は、人前に出るのは声が震えるほど苦手である。



「 また、会うんじゃない?」


「 え……?」


「 んー! その一年に!」


「 えーーー!!あそこでは一人で過ごしたいのにーーーーー!!!」


「 だから、結局、何処なのよ!そこ!笑」