「サーカスの入り口に、誰かがいたほうがいいだろう。おい、ルイス」
センリは遠くにいるウサギ耳の男の子に声をかけた。すると、ルイスは私達に笑顔で駆け寄ってくる。
「なんだよ、センリ!僕に銃を教えてくれるの!?」
ルイスは可愛らしい笑顔でとんでもないことを口にした。
今、銃って言わなかった!?
「飛び道具はまだ早い。まずは、玉乗りを覚えろ。それが今のお前の仕事だろ」
「えーっ、僕、ピエロなんてやだよ!!カッコ悪いし!」
二人の会話を呆然と聞いていると、カイが私に耳打ちした。
「俺たちサーカス団は、まずピエロからやらされて、それぞれの特技を見つけて初めて一人前の団員になれんだ。ピエロにすらなれないヤツもいるけどな」
「へぇ、結構シビアなんだね」
サーカス、私とは縁の無い世界だなぁ。華やかに見えて、物凄い努力が必要なんだろう。
「あ、じゃあ、昨日のピエロって、まさか君!?」
上手に玉乗りしてたなぁ……。まさか、あの舞台のピエロさんに会えるなんて感激!
「君じゃなくてルイス!今にセンリみたいな拳銃使いになるんだ!」
ルイスはヤル気満々にガッツポーズをする。
「センリは、ルイスに慕われてるんだね」
「懐かれてる、の間違いだ」
苦笑いのセンリに、私は吹き出す。
そう言いながらも嬉しそうなのは、見間違いではないだろう。カイに比べて、あまり表情のないセンリにしては珍しい笑みだった。


