マウンド


それからというもの、私は野球部の先輩に気に入られたのか、ちょっかいを出され始めてきた。

外練で、野球部から来るボール。
決まっていつも、

「流那ー!
ボールとってー!」

だ。
基本的にはボールの近くにいる人がとることになるのだが。

すると、花恋が彼氏ができたという。
花恋に彼氏ができたことに驚き、すっかり上の空だった私。

そして、今に至る。

「ほらっ!あれだよ、大翔。」

あれだよといわれても何がなんだかわからない。

あっちが私を知ってても、私があっちを知るわけがなく。

すると、花恋に気づいた彼氏らしい人が寄ってくる。
隣には背の高い坊主がついてる。

「よっ、花恋。
どうした?」

顔が赤面していく花恋。
昨日付き合ったって言ってたし、まだ慣れてないのかな。

「そのっ、友達に紹介しようと思って来たんだけど…。
いきなりごめんねっ!」

その友達こと私は、二人の存在を知っている。
それはあっちも同じだろう。

「花恋って、流那と友達だったのか!?
全く真逆のタイプだろ…。」

全く真逆って…。

まぁ、確かに花恋はふわふわして可愛く、女の子らしい容姿だ。
身長をのぞいて。
私は、男勝りな女。男とも言えるか。
身長もそこそこ高く、165だ。
花恋と比べると小さいけど。

それにしても

「ちっちぇー…。」

ボソッと呟いた。
本人こと、大翔先輩はそれに気づき、

「うるせーよ!
お前だって足小せーだろっ!」

「身長小さい方がかわいそうでしょ。」