マウンド


「中練とかだるいー。
まじ走り込みとかきつすぎだわ。
流那みたいに体力あればあたしも頑張るのに。」

「どんな練習するかまだわかんないよー。
走り込みだろうけどね…。
一緒に頑張ろっ!」

私がそう言うと、きこも頑張ると言ってくれた。

先輩も皆集まり部活が始まる。

「今日のメニューは、校舎30周に筋トレ!
あと、アップ!」

校舎30周…!?
どんだけハードなんだよ…。

「個人で走ってOKだから!
でも、ちゃんと30周走ること!
んじゃ始めるよ!」

「「はい!」」

30周とかだるいなー。
膝も腰も痛いし頑張らなくちゃ。

着々と走り終え残り10周となった。
走っていると、シューズが緩くなる。
紐が解けてきたのだ。
結びたいが今止まったら走れない。
仕方なく走るが、とうとう脱げる。

野球部の前で。

「あっ!やべっ!」

急いで履こうとするが、野球部の先輩が面白がって男子トイレに入れた。

「お前の足小さいな!
よくそのサイズあったな!」

知らない先輩に言われる。
残り少しだったのに…!

「いいからそこどけてください。」

私が怒り口調で喋る。
だが、それでもどけない坊主の大群。

イライラしはじめた私は、脱げてない方の足でケンケンしながら、先輩達を通り抜け男子トイレの前にたどり着く。

「お前、女子なのに入れるのか?
入るか?おっ、入るか、入るか?」

そんなくだらないことには耳も傾けず、男子トイレに突っ込む。

靴があり、急いで履いた。
私はイライラしながら男子トイレをあとにした。

「男子トイレに靴入れられたなら、入ってもしょうがないですよね?
入って変体扱いとかするわけないですよね?
やったの先輩達ですからね!」

私はそれだけ言い残し、また走りに戻った。