困っている人をほっとけない宗祐は、煉獄鬼討伐をうけることにした。

いざ対峙してみると、煉獄鬼の強さはこれまでの魔のものと比べ物にならないほど強かった。

多くの人間を喰らったせいもあるのだろうか。

頭が良く力もあり、宗祐と権之白山は苦戦した。

何とか倒すことが出来たものの、宗祐も権之白山も瀕死だった。

万が一、煉獄鬼が復活してしまってはもう誰も煉獄鬼を倒すことが出来ないかもしれないと思った宗祐は、最後の力を振り絞り、その地に煉獄鬼を封印したのだった。

封印の成功を見届けた宗祐はその場に崩れ落ちた。
そんな宗祐の元へ権之白山はフラフラと歩み寄るとそっと鼻を近づける。

「……ゴン…、大丈夫…だ…。すまない…。私は…一足先…に…逝くこ…とに…なり、そうだ…。ゴ…ン、そな…たには…感謝…している…。」

宗祐はそう言うと、フッと微笑んで静かに息を引き取ったのだった。

アオ――――――ン!!!!

権之白山は大きく遠吠えをした後、そっと宗祐に寄り添うと静かに目を閉じた。
やがて権之白山もそのまま息を引き取ったのだった。

彼らの活躍と死を知った村人たちは、彼らへの感謝と敬意を込めてその地に祠を立て、そしてそれらを守るため、お寺を建てた。

約千年もの間、その地は守られていたのだった。

だが、長い年月の間に、彼らの活躍は昔話としてのみ伝えられ、お寺の者以外はその話を忘れていったのだった。

宗祐の死から約千年後。

お寺の近くの病院で一人の赤ん坊が産声をあげた。

その赤ん坊の胸元には、宗祐と同じ変わった形の痣があったのだった…。