「本当にその人のことが好きで、どうすれば僕の方を向いてもらえるかなって」


「それで私のとこ来たの?」


「考えて考えて思ったんだ」


「私の言葉は無視かい」



というよりも、自分が話すことに精一杯で私の声が聞こえてないって感じだな。


どんだけ必死だ。



「世界に僕とその人しかいなければ、好きになる対象も僕だけだし、恋愛にも発展するよね」


「……は?」



え、今ものすごく危ない発言を聞いたよう、な……



「あ、れ……?」



視界がグラリと揺れる。


何これ、体に力が入らない……


手からコップがすり抜けて、コーヒーがパシャと地面にこぼれた。


ふわ、とかろうじて感じたのは初めての体温と、冷たくて蠱惑的な不思議な香り。




「好きだよ、アマナ」




そして思わず心臓が音をたててしまいそうな魅力的で絶対的な声。



あ、ダメだこれ。


なぜか直感的にそう思い、私の意識は途切れた。