ラノベ作家と怯える魔法少女(ペット)と

恋しいような、寂しくて愛おしいようなそんな曖昧な感情。
そんな心を紛らわすために他のことを考える。
………あ……。
すっかり忘れていたが俺は締切に終われていることを思い出した。
すぐにパソコンを開き真っ白い白紙の画面に打ち込む。

。テーマ:恋愛
。題名:隣の貴方へ
。著者:桜羽
桜の並木道が奥へ奥へと続く春の日に、僕は貴方に一目惚れをしました。
歩く度に揺れる長く美しい銀髪と眩しいくらい真っ直ぐな金色のひとm│

どうしてもメヒアが忘れられなかった。
何度書いても同じようになってしまう。これがスランプというものなのであろう。
今までスランプなんて一度もなかったのに
たった数分で、俺のラノベにまで影響がでるとは思わなかった。
____明日、もう一度あの場所へ行くのじゃ__________
頭の中に聴こえてくるまだ幼い女の子の声。
だけれどそれは、メヒアのものではなかった。
メヒアより安定して落ち着きのある声。
でも、どこかにあどけなさのある声。
声の主はわからない。
でも今は……声の主に従おうと思った。
ふと、外を見ればもう闇のように暗かった。その闇の中に光る住宅の光を見ると、俺の心は急に寂しささえ覚える。
時計を見ればもう12時をとうに超えていた
「おやすみ」
小さく呟いてみる。
返事はない。
これでいい。
いつもの俺の部屋だ。
その時計の針の音を聞きながら眠りに落ちる。