わからないがそれを聞こうとは思わない。
聞くのは今ではないのだろう。
「では私はこれで失礼します」
服を着終えたメヒアはそう言って立ち上がる。
「あぁ、ありがとな」
俺はそっけなく答えた。
いつ会えるかも知らないのに。
まだ聞きたいことはたくさんあるのに。
"また会える"確信などどこにもないのに俺は手まで降って見送る。
ドアを閉め部屋を見渡せば、そこはいつもどおりの俺しかいない、俺の部屋だった。
心臓の音と時計の秒針だけが聴こえるこの部屋。心地がいいはずなのに、メヒアの無表情だが悲しそうな顔が浮かんでくる。
くっそ、なんでだよ…………………。
名前しか知らない銀髪少女との、たった数分間の時間だったのにとても恋しく思う。