玄関に着いて、私は陽介の姿を見つけた。
陽介も私に気づいて、私に近づく。
「ご、ごめん!!日直だったの忘れてて……」
先手必勝。
私は頭を下げて、謝った。
怒ってる……よね。
結構、待ったよね?
うぅ、せっかくの初めて放課後を一緒に過ごせるのに、こんな失敗しちゃうなんて。
私ってば情けない。
……ポン。
え…?
頭におかれた、大きくて温かい手のひら。
私はゆっくりと顔をあげると、陽介は微笑んでいた。
「いいよ、気にしなくて。忘れてんのかな?って思ってたけど、なんだ日直か」
「陽介、……怒ってないの?」
「怒らねぇよ。こんなしょうもねぇことで」
しょうもないって……時間は大切だよ。私が言えることじゃないけど。
でも、そうだよね。こんなことで怒る人じゃない。
心の広い、優しい人だ。



