本当なら私と行く時間の分も、好きな子と一緒にいたかっただろうに。
私の胸は相変わらず、締め付けられたままだ。
「はぁ……」
いきなり琴平先輩は額を抑えて、ため息を吐いた。
どうしたのかな、琴平先輩。
「やっぱり気づかないか」
ポツリと吐き捨てられた呟きを、私は拾うことはできなかった。
ぼそぼそとしか聞こえなかった琴平先輩の声。
なんて言ったんだろう。
すると、琴平先輩は私に目を向けた。
その瞳は何かを決めたような、覚悟ができたような光を持っていた。
ドキ……。
ああ、また「好き」が溢れる。
彼への想いが積もって、大きな愛になる。
一生忘れられないような、愛に。
「海ちゃん、鈍すぎ」



