映画館に着き、『この恋、賞味期限切れ』を見る。
……劇場内って、こんなに席近かったっけ?
この鼓動が、すぐ隣にいる琴平先輩にも聞こえていそう。
緊張しちゃって、ガチガチになる。
この近い距離。
もっと縮まればいいのに。
ひじおきに置かれている琴平先輩の大きな手。
私はその手に自分の手を近づけるが、寸前で止め、膝の上へ戻す。
もどかしい。
あと少しでこの距離がなくなるのに、埋められない。
好きって想いが重ならないと、埋められない。
場内が暗くなり、映画が始まる合図。
琴平先輩を近くに感じながら、私は映画を見た。
切ない恋を描いたその映画は、私の胸を幾度も揺らした。
笑顔だけが恋じゃない、そんなメッセージを送ってくるヒロイン。
まるで訴えかけているような、強く届けているような。
私は思わず、泣きそうになった。



