私は涙をたえながら、先輩に聞いた。
「嫌いになんてなんねぇよ」
「え……」
「すんげぇ心配はしたけど」
「す、すみません……」
琴平先輩が向けてくれた笑顔が太陽みたいに心を温める。
心配してくれたことが嬉しくて。
助けてくれたことが嬉しくて。
涙が目いっぱいに溜まる。
「でも、ほんと無事でよかった。
飲み物買ってくるって言っても無反応だったから、心配してたんだけど、まさかナンパされてるなんてなー」
冗談めいた話をするかのように笑いながら、琴平先輩は星空を見上げて言った。
『飲み物買ってくる』なんて声、聞こえなかった。
それほど私は、自分の世界に飛んでたんだ。
「すみません……」
「もういいよ。だけど……」



