「あれ?海ちゃん……?」
前から声がして、俯いていた顔をあげる。
そこには、一番会いたくて、愛しくて大好きな人がいた。
私はいてもたってもいられなくなって、大好きな人のもとへ駆け寄る。
視界がぼやけてきて、瞳に涙が溜まっていることに気づいた。
走ってる途中で、涙がポタリ、落ちる。
でも私はそのことを気にせずに、走った。
会いたくて
そばにいたくて
大好きを伝えたくて。
私は大好きな彼の名前を「大好き!」と言っているかのように叫びながら、
彼の温もりを感じるように、ギュッと抱きしめた。
「――陽介!」



