――啓林大学へ向かっている私の背中を教えてくれた空は、自分の部屋で私の幸せを祈っていた。




「……幸せになってよね」




ただその願いだけが、空の胸を埋め尽くす。





ずっと、空は私の幸せを考えてきてくれた。


陽介と付き合い始めたその頃から、ずっと。




空は私のことを、見守り続けてきれくれた。






プルルルル……♪






静かな空の部屋に、着信音が響く。




「もしもし」




電話に出た空。

電話の相手の声を聞くと、頬を緩めた。




愛しい愛しい、その声を聞けて嬉しくて。