「……行かなきゃ」
私は携帯をベットに置いたまま、自分の部屋を出た。
すると、ちょうど目の前に空がいて、いきなり部屋から飛び出した私を見て驚いていた。
「海、どうしたの?」
「私、行かなきゃ。琴平先輩……陽介、今大学にいるかな?」
「! 海、もしかして記憶が……」
空の言葉に、私はコクリと頷く。
空は一瞬目を丸くしたが、すぐに「そっか。思い出したのか」と微笑んだ。
「いると思うわ。確か、土曜日は講義があるって言っていたから」
「え、なんで知ってるの?空」
「聞いといたの。海に携帯を渡した日に。
いつでも、海が琴平先輩のところに行けるように」
空……。
「ほら、行って。待ってるわよ、彼が」



