「――!」 ハッ、と瞼を開ける。 全て……思い出した。 「琴平……先輩、」 絶え間なく涙がこぼれて、視界が歪む。 大好きな人に告白されて、別れて、それで……。 私は凪雲くんのことを好きになった。 そう思っていた。 だけどそれは、私が勝手に思ってた。 私はただ、恋に恋していたんだ。 凪雲くんに恋をしてる。 そんな嘘の感情を持っていれば、琴平先輩への想いで悲しまなくてすむと思って。