私は震える手で携帯をしまう。
どうしよう。連絡すら取れない。
ああ、やばい。
涙が、こぼれ落ちそうだ。
「どうしたの?」
琴平先輩……!?
後ろから声をかけられ、私は笑顔で振り向く。
しかし。
そこにいたのは、琴平先輩じゃなかった。
「誰、ですか?」
「通りすがり?
君、一人?なに?彼氏とはぐれた?」
こういうのは無視したほうがいいって、空が言ってた。
私は何も答えずに、その人の横を通る。
先輩を探さなきゃ。
けれど、グイッと私の腕を声をかけた通りすがりの人が強く引っ張った。
「痛っ…!」
思わず声を出す。



