ダメ。 ……ダメ。 苦しいだけの恋じゃ、ダメ。 そんなの心が、もたないよ……! ――ハッ! 瞬間、私は我に返った。 「あれ……? 琴平、先輩……?」 隣にいたはずの琴平先輩がどこにもいなくて、キョロキョロ周りを見渡す。 どこ? 私がボーッとしてたから。 考え事してたから。 ……どうしよう。 人が多くて、流されちゃったのかもしれない。 どうしよう、どうしよう。 私はとにかく連絡を!と思って、携帯を出した。 だけど。 「携帯番号もメアドも、わからないんだった……」