だけど、悲しいものばかりじゃない。
愛しい記憶だって、在った。
はっきりと感じたもん。
あの愛しくて、大切な記憶を。
「海が事故に遭った日、思ったの。これ以上海を、悲しい目に合わせたくないって」
「空……」
空のクッションを抱きしめる力が、少し強くなる。
私は、空にいろいろな感情を背負わせていたんだね。
ううん、感情だけじゃない。
私が失った記憶さえも、背負っていたのかもしれない。
空は変なところで、頑張りすぎちゃうから。
一人で背負いすぎて、人に頼れなくて。
なんでも、自分だけでなんとかしようとするんだよね。



