空は顔を出して、私に尋ねる。
「あのね、……私、やっぱり記憶を取り戻したくて」
「海……。
わかった。入って」
空は扉を開けて、部屋へ招いた。
空の瞳は、何かを決意したかのような凛としたもので、真っ直ぐで。
その瞳の中に、一筋の光が見えた。
空の部屋に入って、ローテーブルの周りに、私と空は向かい合った形で座る。
「私はね、本当は思い出してほしくないの。
海が失った記憶は、とても悲しいものだから」
空はピンクのクッションを抱きしめながら、俯く。
空の声は、少し震えていた。
悲しいもの……?
私が失った記憶は、悲しいものだったの?
だからさっき、あんなに涙が……?



