「あれ……?」
目尻に指を当ててみると、冷たい雫が指についた。
涙……?
ツー…、と頬を伝って流れ落ちる涙に、やっと気づいた。
どうして私、泣いてるの?
なんで?
悲しいことなんて、なにもないのに。
無性に泣きたくなる気持ちを、抑えることなんてできなかった。
琴平さんに協力してもらったときに思い出した記憶と同じように
はっきりと鮮明に“残る”記憶。
クリスマスに近い時期の日の悲しい記憶。
私は誰かと付き合っていて、だけど、クリスマスに近い日に別れた。
そして“誰か”は、笹道さんと付き合うことになった。



