ガーン。
「可愛い」とか言ってくれたらな、って思ってたのに。
期待しすぎたかな?
「海ちゃん?」
「あ、すみません!」
先を歩いていた琴平先輩は、歩かない私に気づいて振り返った。
私はプチショック感を消しつつ、彼の元へ駆け寄った。
琴平先輩の隣。
並んで歩く、川岸。
川岸で行われてる夏祭り。
祭りの音も、楽しんで騒ぐ人の声も。
だんだんと遠ざかって、二人の空間が築かれる。
……好き、だなぁ…。
今までで一番、距離が近い。
肩と肩が触れちゃいそうな、でも触れないような、そんなもどかしさのある距離感。
もう一歩、近づきたいのに。



