「俺が教えられることって言ったら、これくらいかな。
どう?記憶は」
「すみません。協力してもらったのに、記憶はまだ……」
「いいよ、気にすんなって。少しでも役に立てたなら、よかったさ」
琴平さんは、私の頭を優しく撫でて、笑顔を向けた。
琴平さんの手の温もりが、じんわりと伝わってきて、トクン…と胸が跳ねた気がした。
「ありがとうございました、琴平さん」
「どういたしまして」
琴平さんに、目を細めて微笑むと、琴平さんも同じように柔らかい笑みを返してくれた。
その笑みに見とれてしまって、しばらく見続けてしまった。
なんだろう、この気持ち。
さっきから、心臓がうるさい……じゃないな。心臓が、心地いい鼓動を鳴らしている。
どうしてこんな気持ちになるの?



