忘れたくないはずなのに。 ……いや。 だから、なのかな? 忘れられないから、封じ込めたのかな? ああ、嫌だ。 そんな想像したくもない。 こんなに優しい琴平さんとの記憶を失くす理由なんて、あるわけない……って思うのに。 ズキンズキン、ドクンドクン。 心臓がさっきから、こ刻めに揺れ、震えている。 怯えているというよりは、どこか急かしているような。 そんな感覚に陥る。 私は胸元に手を添え、「大丈夫、大丈夫」と心の中で唱えた。 心配しないで、とまるで赤ちゃんをあやすように。