前の私でも、今の私でもない。
記憶を取り戻した後の私だけ……?
事故に遭う前の私でも、わからないことなの?
「この公園で、俺たちは…………一生忘れられないような話をしたんだ」
「一生、ですか?」
「あぁ、一生だ」
琴平さんはまぶたを閉じて、思い出しながらそう優しく言った。
一生忘れられない話って、どんな話だろう。
気になるけど、でもそれは、言いにくいことなんだろうな。
琴平さんの表情を見ると、そんなことを思ってしまう。
だから余計聞きにくくなって、ためらってしまう。
琴平さんにとっても、私にとっても、大切な話。
だとしたら、どうして私は、そんな大切なことを忘れてしまったんだろう。



