私は頭を下げて、笑顔でお礼を言った。
琴平さんの優しさと切ない瞳に、胸がいっぱいになった。
「じゃあ、行こうか」
「え、大学は…?」
「いいよ、今日は特別な用があってきたわけじゃないから」
琴平さんはそう言って、「行くよ」と私に背を向けて、どこかへ向かい始めた。
本当にいいのかな?
ていうか、どこに行くの??
私は琴平さんの隣に並んで、どこに向かうかわからないまま、歩き続けた。
琴平さんの表情は、だんだんと辛く険しいものになっていき、横目で私はそれを見ながら、胸の締め付けに耐えていた。
どうしてそんな表情をしてるの?
「ここが、海ちゃんと出かけたときに行った映画館」
琴平さんは駅近くの映画館の前で、足を止めてそう言った。



