「やっぱり、遊理さんだ!」
私が遊理海だと確信したその子は、笑顔で駆け寄ってくる。
だ、誰?
「あれ?忘れちゃいました?あたしのこと。
あたしですよ。笹道苺綺、覚えてます?」
笹道苺綺?
うーんと思い出してみても、やっぱり思い出せない。
琴平さんと一緒で、この子のことも忘れちゃったのかな。
「お、覚えてるよ」
記憶喪失のことを話すとややこしくなるから、私はそのことを黙って、話を合わせておいた。
それにしても可愛い子だなあ、笹道さん。
こんな子が私の知り合いだったなんて。
こんな可愛い子を忘れるなんて、どうかしてるよ私。



