「ボーッとしてらしくねぇぞ!
笑ったほうが可愛いんだから、笑ってろ」
琴平先輩はそう言って、ニッと明るい笑顔を見せた。
……なに、それ。
泣きたいわけじゃなくて。
切ないわけでもないのに。
だけど、どうして目が潤むんだろう。
ドキドキ……。
恋の音が響く胸の中、私は琴平先輩に笑顔を見せた。
その笑顔は、ぎこちなくて不器用で。
そんな表情でも、琴平先輩は嬉しそうに笑うんだ。
ナチュラルに「可愛い」とか言うから、期待しちゃうじゃんか。
琴平先輩のせいですからね。
声にならない「好き」を
伝えたくて、届けたくて。



