こめかみを抑えて、痛みに耐える。
突然蘇ったと思えば、すぐに消えてしまう私の失ってしまった記憶。
とても幸せなときの記憶。
なぜかそう思った。
「海?大丈夫か?」
「だ、大丈夫……。記憶が、少し過ぎっただけ」
そう、本当に少しだけ。
断片的ではなく、全ての記憶を思い出せたらいいのに。
そしたらきっと、凪雲くんが言いたいことだってわかるはずなのに。
「……記憶が欠けているから、俺が好きだと思うのかもな」
「え?」
ボソッと呟いた凪雲くんの声は、私の耳まで届かなかった。
何を言ったんだろう。
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