――ハッ!
…………え?な、何、今の…。
記憶?
私が……琴平さんのこと「琴平先輩」って呼んでた。
琴平さんに関しての、断片的な記憶ってこと?
どうして今、思い出せたの?
どうして今、琴平さんとの記憶が蘇ったの?
ふと視線を上げると、窓の外の空は夕焼け色の赤っぽいオレンジに染まっていた。
その色は、まるで私を飲み込んでしまいそうなほど、情熱的で心が熱くなった。
「…………琴平、さん……」
なんで今私、琴平さんの名前を呼びたくなったんだろう。
無意識に呟いたその名は、誰の耳にも届かずに虚しく響いた。



