「綺麗……」
私、こういう教室好きだなぁ。
誰もいない教室。
夕日色に染まる教室。
まるで、青春の一ページみたいで。
私の胸は、小さく跳ねた。
「ここに凪雲くんがいたらなぁ…」
そしたら、もっとこの時間が好きになれるのに。
私の小さな夢だった。
空と凪雲くんと、三人で一緒に卒業することが。
だけど、三人で一緒に毎日を過ごしていたあの時間さえもが、懐かしくて愛おしい。
あれが当たり前じゃなかったんだ。
毎日、普通だと思っていたあの日々は、当たり前なんかじゃなかった。
特別なものだったんだ。
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