――6月。
今日から、私は高校三年生になる。
退院したのは、4月。
琴平さんが毎日のようにお見舞いに来てくれたおかげで、毎日退屈せずに楽しく過ごせた。
ただ、退院できたのは二ヶ月前だけど、少しの期間、自宅療養しないといけないって、医師に言われたんだ。
理由は、もちろん私の記憶。
これ以上、私の記憶が欠落しないように。
それと、混乱しないように。
私からしてみれば、早く学校行きたい!高校生に戻りたい!
って思ってたんだけど、空も凪雲くんも、不安そうな表情で私を見るんだもん。
……学校行きたい、自宅療養なんて嫌だ、なんて言えるわけないじゃん。
そして、二ヶ月間、私は家でずっと休んでいた。
病室だったら琴平さんが遊びに来てくれたのに、家に来てくれるわけもなく。
すっごくつまらない二ヶ月間だった。