――次の日。




「海ちゃん」


「あ、琴平さん!」





病室で退屈に過ごしていると、琴平さんが遊びに来てくれた。


遊びっていうか、お見舞い……かな。




体は全然痛くないし、問題なのは記憶だけ。

琴平さんを忘れてしまった、記憶だけ。




あとは異常なし。


体調だってバッチリ。






「調子はどう?」


「いい感じですっ」


「そっか」





琴平さんはベットの脇にあるパイプ椅子に座り、笑顔を見せた。







昨日、空に聞いたんだけど

琴平さんは大学生で、二つ年上。



どうやら私が高校一年生のときに、琴平さんと知り合ったらしい。