私は扉を開けると、屋上へ一歩入った。
ドキドキがうるさくなる。
好きだと気づいたときからずっとそう。
胸の高鳴りは、一度だって静まったことなんてない。
「あ、海ちゃん」
「こ、琴平先輩。こんにちはです」
「こんにちはですって。はは。相変わらず、面白いね海ちゃん」
面白くなんてないです。
私はそう言って唇を尖らせながら、琴平先輩の隣に座った。
私と琴平先輩は、自然と二人で昼休みという短い時間を過ごしていた。
どちらも「一緒にお昼食べない?」と誘うわずに、自然と。
最初は友達がいたが、連れてこなくなっていた。
なんでかな。
なんとなくって、こういう時に使う言葉なのかも。
ただ“なんとなく”二人で過ごすようになった。
他に言葉が見つからない。



