あれ? 今、胸がはねたような……。 気のせい? でもどうしてだろう。 なんだか、ポカポカする。 琴平さんの近くにいると、心の奥が温まる。 「いいよ別に。目が覚めて、安心した」 琴平さんは優しげに微笑みながら、私に言った。 私はいつ彼と出会い、知り合い、友達になったんだろう。 どうして、彼のことだけが記憶から失くなっているのだろう。 「……記憶障害、ですか?」 私が目を覚ましたことを看護師に知らせると、私の担当医がやってきて、記憶障害だと言われた。