「――やっぱり来ねぇか……」
駅前の時計の下。
久し振りに海にメールを送ってから1時間。
やっぱり海の姿は見当たらない。
「はぁ……」
だよなぁ…。
わかってたけど、さすがにきつい。
海と別れてから、メールなんて送ってなかった。
何度もメールしようと思っては、送信ボタンが押せずの繰り返し。
こんなにメールを送ることに緊張したのは初めてで。
自分の臆病さにもどかしささえ感じる。
やっと遅れたメールは、今日の誕生日おめでとうメール。
ホワイトデーが誕生日だって覚えていたから、…いや、忘れられなかったから、今日こそは送るぞって気合いが入っていた。
俺の手には、ラッピングされたプレゼント。
必死に悩んだ末、買ったのはリボンのバレッタ。