――3月12日。
冬が過ぎて、春になった。
寒さが少しずつ和らぎ、暖かな陽気さが私たちを包む。
昼休み。
私は、ちょうど教室を出ようとしていた凪雲くんに声をかけた。
「ねえ、凪雲くん。
……放課後、校舎裏にある若葉公園に来て?」
私は頬を赤く染めて、緊張する胸を抑えながら言う。
「いいけど……、なんで?」
「ふふっ、なんでもだよ!」
詳しいことは何も言わないで、私は凪雲くんに笑顔を向けた。
校舎裏にある若葉公園のシンボルの桜の木は、まだ咲いていなくて、桜のつぼみがついている。
もう春なんだと、そう感じるこの暖かさに、私はまぶたをゆっくりと閉じた。
今日私は、凪雲くんに告白をします。



