「恋って、すごいことなんだよ」 「空……」 「私のことはいいから、ちゃんと伝えなきゃダメだよ」 「うん…」 胸の辛さを見て見ぬふりをして、私は空の手を握り返した。 頷いたあと、空は私から手を離す。 ……凪雲くんが好きってわかって嬉しいはずなのに。 やっぱり切ない。 『――海!』 ハッ! 脳裏にかすんだ、笑顔で私を呼ぶ陽介の姿。 どうして今、陽介のことを思い出すんだろう。 思い出にしなければいけない初恋を、いつまでも引きずっているわけにはいかないのに。