「好きじゃ……」
ない、よね?
完全に否定できない自分に苛立って、モヤモヤする。
今まで、凪雲くんにドキドキしたことはあった。
今まで感じたことのない、甘い鼓動。
だけどそれは、陽介への想いとはちょっと違って。
恋にいろいろな形があることは知っているけれど、
この想いも、はたして恋心なのか。
私にはそれがわからなかった。
陽介への“スキ”が、真っ赤なりんごのような甘酸っぱいものだとしたら。
凪雲くんへの想いは、わたあめみたいなふわふわな柔らかな甘いもの。
ずっと幼馴染だった彼。
私は……もしかして、本当に空の言うとおり……好き、なのかな?
「否定できないってことは、少なくとも惹かれていってるってこと」



