私の、好きな人……?



瞬間、脳裏をよぎったのは


陽介の笑顔と、凪雲くんの優しげな表情だった。





え……


どうして、二人の顔が浮かぶの?






「まだ、琴平先輩のことが好き?」




優しい声で尋ねる空に、私は首を横に振った。


頷いちゃいけない。

そう思ったから。




陽介への“スキ”は、まだ完全には思い出に出来ていない。


だけどだんだんと、少しずつだけど変わっていってる。




けれど、どうしてだろう。


変わっていくたび、心の中が空っぽになっていくみたいな感覚になるの。







「それとも……
 凪雲くんのことが、好き?」