もしかして空が凪雲くんに、知らない間に連絡を……?
「じゃあ私はもどるね」
空はそう言い残して、凪雲くんの横をとおり、屋上を出た。
……ありがとう、空。
「大丈夫?海」
私のところに駆け寄ってきた凪雲くんの髪はボサボサで、走ってきてくれたことが丸分かりだった。
心配して、走ってここまで……。
「うん、大丈夫だよ」
私は微笑みながらそう言って、凪雲くんの髪を直してあげた。
――トクン……。
あ、まただ。
また、甘い鼓動が聞こえる。
「本当に?」
心配性なんだから、凪雲くんは。
私はさっきよりも大きな声で「大丈夫」と言った。
凪雲くんに、笑顔を見せて。



