「ごめんね、応援できなくて。
 だけど私、本当に海には幸せになってほしいから」



「うん、わかってるよ。
 …どうせ、もう失恋しちゃった恋だし。初恋は叶わないものってよく言うしね」



「海……」





もう、わかってるんだよ。


あとは思い出にするだけ。ただそれだけなの。




でも、いつだって、引き戻される。


声を言葉を名前を、聞くだけで。

顔を見るだけで、会うだけで。




すぐに、恋が私を捉えるんだ。







――ガチャ!



「海!?」






突然屋上の扉が開いて、そこから私を呼ぶ、もう既に制服に着替えている凪雲くんの姿が。


どうして凪雲くんが…!?




「じゃあ、バトンタッチだね」





空はそう言って立ち上がり、私から手を離した。