それ以上先の言葉を聞きたくなくて、私は空の声を遮った。
期待を抱くことだって、怖いんだ。
永遠に、初恋を思い出にできない気がして。
怖いんだ。
「私、海には幸せになってほしいの」
「空……」
初めて、空の願いを聞いた気がする。
空の瞳は潤んでいて、今にも泣きそうだった。
空はいつだって、私のことで悩んでくれて。
空はいつだって、私のことを心配してくれる。
「私だって、空には幸せになってほしいよ?」
私は目にたまっていた涙を拭って、空の手を握った。
空の手は震えていて、小さくて。
でも、私の手も震えてるね。
「琴平先輩は海を傷つけすぎた。だから、もし海が琴平先輩のことを今でも好きながら、応援できない」



