「で?何があったの?」
屋上の端っこに座った空は、立っている私を見上げながらそう優しく尋ねた。
私は空の隣に座る。
「笹道さんが、私のクラスに来たの」
私は、辛いと叫んでいる胸を抑えながら、泣くのを我慢しながら、話し始めた。
空は相槌さえ打たずに、ただ静かに聞いていた。
「そのことに、驚いて。
笹道さんの笑顔にも言葉にも、苦しんでいる自分がいた」
ひとつずつ整理しながら話す。
話しているときの自分は、意外にも冷静でいられた。
もっと辛くなると思ったのに。
空が隣にいるからかな。
空が近くにいるから、安心しているのかな。
「笹道さんが陽介のことを話すたび、話すのをやめてほしいって思った」
さっきのことを思い出しながら、私は話し続ける。



