…やめて。 やめてよ。 これ以上、陽介の話を……陽介と笹道さんの話をしないで。 「それで陽介、昨日あたしのことを……」 「やめてっ!」 すごく楽しそうに話をする笹道さんの言葉を遮るように 私は耳を塞いで、そう叫んだ。 言った瞬間に我に返る。 あ……。 教室内の人が皆、私を見ている。 ざわざわとし始める。 「ごめんなさい」 私はそう言い残して、教室を出た。 ――私、最低……っ。 涙が目に溜まって、視界がぼやける。 もう嫌だ、こんな自分。 どうしてこんな醜い心しか、抱けないんだろう。